Dog salon K

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高知県吾川郡いの町の商店街入口に位置する建物の1階部分をドッグサロンに改修する内装計画である。主な要望としては、通常営業以外の時間で犬好きの人達と気楽に集まって話せる場所、飼主が迎えにくるまで犬をケージに入れないで伸び伸びと安全に走り回れるトリミング室、十分な収納室、といったものだった。
店舗併用住宅が建ち並ぶ商店街には、都会にはない、のどかでゆっくりとした時間が流れている。仕事の合間にも友人がふらっと訪れて、少し話をして帰っていくようなおおらかさも魅力的だと思った。そこで、店舗と住居が混ざり合ったような空気を作ることで、気分に応じて使い方やお客さんとの距離感を変えられるようにするのが良いと考えた。また、既存鉄骨造のがらんとした一室空間の心地よさをそのまま活かし、光と風と視線が前の通りから奥の壁まで通り抜ける快適な働く環境を作ろうとも考えた。
具体的には、店舗としての機能を果たしながら、住居でも現れ得る景色を様々な家具を散りばめることで生み出していく。書斎としても使えるL形事務机、親しい人達と団欒できる正方形机、小休憩する籐のソファ、食事や休憩をするL形ベンチと楕円形状を切り取った机、である。さらに、それら家具が配置された場所に円柱形ペンダントランプを配置し、ペンダントランプだけ点灯すれば住居のように、ダウンライトだけ点灯すれば店舗のように、光環境を調整できる。
形状だけでなく素材も様々選定することで周辺環境の雰囲気とできるだけ連続し、気楽に居られるようにしている。家具はバーチ合板、ステンレス、スチール、カーペット、籐を用い、建具はヒバ、桧、和紙、銅を用いている。その雑多な家具や建具、照明器具が同時に存在していても気にならないように、既存の赤色外壁と同系色のピンクグレー長尺シートを床と腰壁に貼り巡らした。腰壁まで貼った長尺シートは犬が排泄した際に掃除が容易であることと、汚れ防止の役割も果たす。
小学校の登下校時には子供達がガラス越しに飼主の迎えを待つ犬を見て楽しそうに通り過ぎ、陽が落ちてくると、ペンダントランプの光が商店街を明るく照らしている。いの町の商店街を通る人達の日々の生活風景の中に安心感を与えるような外観を目指した。
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主要用途:ドッグサロン(犬の美容室)
構造:鉄骨造
規模:地上3階(1階部分の内装)
写真:西森秀一
施工:建築企画曽我
竣工:2018